Microsoftで最新AIを活用!Azure OpenAIの魅力
― 定義 ―
Microsoft Azure OpenAI(以下、Azure OpenAI)は、Microsoft Azureのサーバー上で利用できるAI(人工知能)サービスです。Microsoft社とOpen AI社が連携し提供しています。
そして、OpenAI社は今話題のAI「ChatGPT」を提供する企業です。「AIを広く誰でも利用できるようにする」という理念のもと、Microsoft社との提携を2019年にスタート。最新のAI技術を、業界スタンダードのMicrosoft社と連携して提供することは、大きな出来事であると同時に、理念実現の一環ともいえます。
また、すでにAzureを導入している企業では、利用開始のための申請手続きを行うだけでOpenAIとAzureとの連携が可能。手軽に最新のAI技術を利用できると期待が高まっています。そこで、今回はAzure OpenAIの「特徴」「利用イメージ」「活用事例」「未来」についてご紹介します。
―技術の違い―
Microsoftが考える「責任のあるAI」
OpenAI社のサービスは一部一般公開されており、ChatGPTなどはWebブラウザ上でも利用できます。では、なぜMicrosoftと連携したAzure OpenAIが注目されているのでしょうか。
その理由は、Microsoft社がポリシーとして掲げる「責任のあるAI」にあります。
①公平性
Aシステムはすべての人を公平に扱う必要があります
②信頼性と安全性
AIシステムは信頼でき安全に実行する必要があります
③プライバシーとセキュリティ
AIシステムは安全であり、プライバシーを尊重する必要があります
④包括性
AIシステムはあらゆる人に力を与え、人々を結びつける必要があります
⑤透明性
AIシステムは理解しやすい必要があります
⑥アカウンタビリティ
AIシステムにはアカウンタビリティが必要です
以上のポイントは、ビジネスシーンでAIを利用するに当たって懸念されていた、プライバシーやセキュリティ面が考慮されていることを意味します。
通常、機械学習が必要なAIでは収集したデータをAIの学習データとして利用します。一方、Microsoft社では収集したデータを学習データとして使用しないこと。また、Microsoft社自身も閲覧できないようにしていることを発表。つまり、Azure OpenAIで利用されるデータは、ユーザー企業が定めたAzureの範囲でのみ利用されます。
Azureの機能をフルに活用
OpenAI社が提供するサービスには、対話型AIなどの機能がありますが、それらのAI機能に加えてAzure OpenAIでは以下を実現します。
①AI機能と他のAzureサービスを組み合わせて利用
②AI機能をMicrosoft Azureの認証・アクセス制御・監視機能を用いて運用
③AI機能をAzureと同じポータルで管理
と、セキュリティや運用、管理の面でメリットが多くあります。
利用開始に必要な「事前申請」
Azure OpenAIの利用を開始するには、Webでの事前申請が必要です(2023年8月現在)。事前申請の承認後は、Azure Portal 上でAzure OpenAIのリソースを作成。その後、新たに利用できるようになるAzure OpenAI Studioにて、利用するAIモデルの選択や学習データの準備を行います。以上の手続のみでAzure上でChatGPTをはじめとする機能が利用できるようになります。
>>「Azure OpenAI Serviceとは」詳細はこちら。
以上の特徴をまとめると「手軽に最新の高品質なAIを利用できる」「生産性の向上だけでなく、信頼性や安全性の確保も見込める」。つまり、Microsoft Azureをすでに利用している企業も、まだ利用していない企業にとっても、Azure OpenAI Serviceを選択することは、ベストプラクティスと言えます。
― 利用イメージ ―
Azure OpenAIを用いて、どのようなことが可能になるのでしょうか。
まずは、その基本的な利用イメージを確認してみましょう。
基本となる機能「文章作成」
ITサービスの普及により、さまざまな事務作業の負担が軽減されてきましたが、文章作成は人間独自のスキルであり、コンピュータによる代替は難しいと考えられていました。
しかし、Azure OpenAIで作成・設置したChatGPTの機能であれば、そうした文章作成も瞬時に可能です。
キーワードから「短い文章を作成」
指定したキーワードから連想される一文を、瞬時に生成することができます。
キーワードから「要約文を作成」
指定したキーワードの説明文の作成や、すでにある説明文の要約、フォーマルな文章への変換なども可能です。
また、Azure OpenAIに含まれるChatGPTの特徴として"対話型のAI"であることが挙げられます。AIの返答に対して「100文字前後でまとめて」「◯◯という言葉は使用しないで」「○◯についてもう少し詳しく」といった追加条件を指定することで、それ以前の文脈を踏まえた回答を返します。
― 活用事例 ―
文章作成機能を用いてできることは様々で、Azure OpenAIの活用をすでに実践されている企業も多くあります。実際にどのように利活用できるのか、その事例をご紹介します。
①米国大手「中古車販売」企業の事例
前述の文章作成の例は、ユーザーがチャットを介してAIに指示し回答を得る例でしたが、Azure OpenAIでプログラムを作成すれば、プログラムがAIに対する指示を代行し膨大な量の指示を処理することができます。
米国の大手中古車販売企業「CarMax」では、Azure OpenAIを活用し話題に。昨今、中古車を求める顧客が最初に見るのはWebサイトであり、膨大な量の車両に関する説明文が記載されている必要がありました。
そこで、CarMaxでは約4万5,000台の車両に寄せられた顧客からのレビューコメントをAzure OpenAIに読み込ませ、各車両の説明文を生成。その説明文をWebサイトに掲載しました。
その結果、人間が作成した場合11年掛かると予想されていた文章作成を、たった数ヶ月で完了。更には、文章に対する顧客の評価も向上したとのことです。
②社内向けに最適化された「ヘルプデスクチャットボット」の事例
ITサービスやテレワークの普及により、社内ヘルプデスクの設置はますます欠かせない時代となりました。また、増え続けるヘルプデスク業務に対して、チャットボットによるヘルプデスクの無人化が注目されています。
しかしながら、従来のチャットボットの多くは、事前にFAQの回答や、回答に至るまでのロジックの設定が必要で、相応の負担が発生していました。対して、社内ヘルプデスクをAzure OpenAIで作成・設置した場合、チャットボットの回答品質を向上させながらも準備にかかるコストを大幅に削減することができます。
機械学習データの準備が容易
普段使用している共有のフォルダを指定し、チャットボットを作成しておけば、自動で社内に存在するマニュアルやデータを連携させるため、定期的なメンテナンスなども不要です。
向上し続ける回答の質
社内に存在するマニュアルや資料などと連携させておくことで、事前にFAQや回答のためのロジックを定期的に見直すことなく、回答の質が向上します。
Micorsoftサービスとの親和性の高さ
Azure上で展開されるこれらのOpenAIの機能は各種Microsoftサービスとの親和性が非常に高く、導入が簡単です。日頃利用するTeamsと連携すれば、いつでもすぐに機能を利用できるため、業務効率の向上にもつながります。
③様々なビジネスシーンでの応用
Azure OpenAIは業界問わず、様々な場面での応用が期待されています。
製造業
スタッフの教育:研修や会話の音声から、新人向けのトレーニング資料を作成。
小売業
シフトの管理:Web上の様々な情報から、小売り店舗における先の予定の混雑具合を予測し、スタッフのシフトを自動に作成。
メディア業
編集の迅速化:トレンドの分析、編集の提案、要約の生成。更にはWebサイトのSEO対策など、目的に最適化された文章のチューニング。
金融業
リスクマネジメント:Web上の様々な情報から金融に関わるリスクの特定や、傾向を把握。
― 未来 ―
ついに実現の兆し「ガバメントAI」
2023年6月、Microsoft社が官公庁向けに「Azure OpenAI Service REST API」を展開することを発表。Azure OpenAIの利用促進に向け新たな一歩を踏み出しました。
日本ではデジタル庁が主導となり、私たちの生活をより便利に、また安全にするために、AI技術を活用した構想「ガバメントAI」を掲げています。ガバメントAIとは政府や公共機関が人工知能(AI)技術を活用して公共サービスの提供や政策決定を行うことを指します。
例えば個人が所有するデータと公共機関が所有するデータを連携させます。個人データと公共機関データの連携により、医療機関が診断をより正確に行ったり、交通渋滞を解消するなどの恩恵が受けられます。
これまでは「ガバメントAI」の実現は、セキュリティと技術の課題から実現が難しいものでした。
しかし、2023年7月にはMicrosoft社が日本国内のデータセンター拡充を発表するなど、近い将来、私たちの生活にAIが大きく関わってくる見通しが立ちつつあります。
AIは、今私たちの目の前にある業務効率だけでなく、生活インフラとしても活躍していくのです。
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