【話題のITトレンド】次世代の高速計算機、量子コンピューターとは ー Vol.31 ー

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量子技術を用いたコンピューター

従来のコンピューターよりはるかに強力な計算能力を持つと言われている「量子コンピューター」。

2022年4月、量子コンピューターの元となる技術(量子技術)が、岸田内閣の「新しい資本主義」で重点投資項目に組込まれたことで話題となりました。

そこで今回は、量子コンピューターの「概要」「スーパーコンピューターとの違い」「得意とする計算」「現状」についてお届けします。

 

量子コンピューターの「概要」


量子コンピューターとは「量子力学の現象を利用した次世代の高速計算機」のことです。

従来のコンピューター(古典コンピューターと呼ばれることもあります。)では、情報を「0か1」という2通りの状態で表す「ビット」を最小単位として扱い計算していましたが、量子コンピューターでは、情報を量子の性質である「0と1の両方を重ね合わせた状態」をとる「量子ビット」を扱い計算します。

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量子コンピューターでは「量子ビット」を扱い従来と異なるアルゴリズムを用いて計算することで、同様のビット数でも1回の計算で大量のパターンを同時に表現することが出来、一括計算が可能となります。

従来のコンピューターでは、答えの導出に膨大な時間を要する問題でも、量子コンピューターを用いることで短い時間で解けるようになる可能性があるため「金融商品の価格推移予測」「創薬に有効な組合せの候補探索」「最適ルートの検出」など、様々な分野での活用が期待されています!

 

量子コンピューターと「スーパーコンピューターの違い」


高速計算が可能なコンピューターと聞くと「量子コンピューター」の他に「スーパーコンピューター」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。

ここで「量子コンピューターとスーパーコンピューターの違い」についてご紹介します。

量子コンピューターが、量子力学の現象を利用し従来と異なるアルゴリズムを用いて計算するコンピューターのことであるのに対し、スーパーコンピューターは、従来のコンピューターを何台も接続してマシンパワーを高めたコンピューターのことです。

量子コンピューターでは「量子ビット」を、スーパーコンピューターでは「ビット」を扱い計算しているため、処理のアプローチが全く異なります

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量子コンピューターが「得意とする計算」


ここで「量子コンピューターが得意とする計算」についてご紹介します。

量子コンピューターは、計算で扱う「量子ビット」の性質により、全ての組合せを一括で計算出来ることから「組合せ最適化問題」を得意としています。

「組合せ最適化問題」とは、様々な制約の下で、多くの選択肢の中から、ある指標を最も良くする変数の値(組合せ)を求める問題のことです。

例えば「ある都市を出発したセールスマンの移動距離が最小値を取るように、すべての都市を一度ずつ必ず訪問して出発点に戻るための経路を求める問題」が挙げられます。
(この問題は「巡回セールスマン問題」と言い、組合せ最適化問題の例でよく用いられています。)

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訪問すべき都市の数が5都市の場合、組合せは120通りと現実的な計算量ですが、都市の数が増え、10都市の場合には約363万通り、30都市の場合には約2溝(2×10の32乗)通りとなります。

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表:巡回セールスマン問題の組合せ数


30都市の場合の計算はスーパーコンピューターでも、計算に100億年近く時間が掛かると言われており「事実上、解く事が出来ない問題」とされています。

このように、組合せの数が膨大となり、事実上、問題を解く事が出来なくなることを「組合せ爆発」と言います。

量子コンピューターでは「組合せ爆発」を起こしてしまうような問題でも「量子ビット」を扱い計算することで、短い時間で解けるようになる可能性があり、特に「組合せ最適化問題」を用いる領域で期待されています!

 

量子コンピューターの「現状」


2022年現在、スーパーコンピューターに搭載されている「ビット」の大きさと同等の「量子ビット」を量子コンピューターに搭載する技術はまだありません。

一括計算が可能な「量子ビット」でも、搭載される規模が小さければ、エラーが出てしまうなど複雑な計算を行うことは難しいと言われています。

上記の理由から現状では、ベースの計算は従来のコンピューターで行い、量子コンピューターが得意な計算は切出して量子コンピューターに計算させる方法をとられることが多いです。

最後に「①IBM社の研究進捗」と「②Microsoft社・NVIDIA社連携のスタートアップ支援」をご紹介します。


①IBM社の研究進捗
2021年、100量子ビットを世界で初めて超えた量子コンピューター「Eagle(127量子ビット搭載)」がIBM社より公開されました。

IBM社では、2022年後半には433量子ビット搭載の「Osprey」、2023年には1,000量子ビットを超える「Condor」を公開予定であり、2025年には4,000量子ビット級の量子コンピューターが実現すると言われています。

搭載するビット数が1、2、3...と増えると、扱える情報量は2、4、8...と指数関数的に増えるため「100量子ビット→4,000量子ビット」が実現することで扱える情報量は「2の3,900乗(2を3,900回掛け算した値)」分増えます!


②Microsoft社・NVIDIA社連携のスタートアップ支援
2019 年、Microsoft社とNVIDIA社が協力し、両社のAIスタートアップ向け支援プログラムのアクセス権を革新的なスタートアップ企業へ提供することが発表されました。

本プログラムでは、Microsoft社からは「Azureクラウド」「Microsoft社のアルゴリズム研究者の方とコラボレーション」など、NVIDIA社からは「世界最先端のデバイス」などが提供されます。

実際にプログラムに参加している企業からは「Microsoft社・NVIDIA社の支援により、量子コンピューターシミュレータを想像以上の速度で動かしてくれるので、開発にプラスに働いている。」とコメントもあり、量子コンピューターの実現に繋がっています。


今後、益々期待されている「量子コンピューター」。
引き続き「量子コンピューターの研究進捗・活用」から目が離せませんね!

 

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