【話題のITトレンド】DFFTとは?デジタル貿易時代の幕開け ー Vol.36 ー

話題のITトレンド

 

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デジタル貿易を支える「DFFT」を徹底解説

 

― 意義 ―

 

我が日本が牽引・提唱する「DFFT」をご存知でしょうか?

DFFT(Data Free Flow with Trust:信頼性のある自由なデータ流通)とは「プライバシーやセキュリティ・知的財産権に関する信頼を確保しながら、ビジネスや社会課題の解決に有益なデータが国境を意識することなく自由に行き来する、国際的に自由なデータ流通の促進を目指す」という、我が国が2019年1月のダボス会議及び同年6月のG20大阪サミットにおいて提唱したコンセプトです。

デジタル庁では、新たな価値の源泉であるデータが、自由で信頼性が担保された枠組みで流通することが経済成長をもたらすとの考えの下、信頼性のある情報の自由かつ安全な流通の確保を図るため、まずはデータに対する基本的考え方と理念を、共有する国々と連携し、データ流通に関連する国際的なルール作りや討議等を通じ、提唱国として責任を持ってDFFTを推進しています。

dfftとは

デジタル庁HP「プレスルーム」

 

 

― 重要性と役割 ―

総論

 

Society 5.0

近年、日本社会で追求し続けられて来たSociety 4.0/情報社会。これにより技術は飛躍的に進歩してきました。しかし、データ流通という観点から見ると整備しなければならない他の要素・課題が山積なことに気付かされます。
そこで、様々な問題を解決する次世代の形としてSociety 5.0の実現が唱えられ始めています。

※Society 5.0とは
人口知能(AI)やIoTに代表されるような先端技術を社会生活に取り入れ、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会を目指す取組み。
(Society 5.0のカギとなるのがデータ流通)
私達の生活に身近な「スマートフォン」を使ったWebサービス、各種店舗でのキャッシュレス決済(電子マネー)、ネット通販で個人情報データが取扱われています。
他にも自動運転やGPSでも個人の動きが蓄積されていきますし、様々な場面でデータ流通が行われ、活用されています。
こういった多くの人やモノが通信技術でつながっていく事に伴い、不正アクセスや不正利用といったセキュリティ・プライバシーのリスクが生じます。そのためにもセキュリティ対策が求められており、DFFTの重要性が高まっています。

Society 5.0とは

内閣府「Society5.0」

 

 

― 重要性と役割 ―

自由な流通性

 

情報越境移転

事業実施のために行われる情報の電子的手段による国境を越える移転を原則として許可。
これにより、電子商取引事業を展開するための大前提としての基盤である国境を越える情報の移転を不当に阻害するような規制の導入を抑制する効果があります。また事業者は国境を越えて顧客の関心やニーズに応じた事業を展開することが容易になります。

dfft 重要性と役割

 

データ国内保存要求の禁止

現代のようなグローバル社会、そしてスピーディかつ激動の時代において、極めて重要な役割を担う情報。言わば経済の源泉であり、新たな「資源」と考えられるようになりました。
大量のデータを保有する国は「データ資源国」であり、データをめぐる各国のグローバルな争奪戦が繰り広げられるようになりました。21世紀は、20世紀における鉱物資源と同様に「情報が資源」と捉えれる時代と言えます。
情報社会においては「データは国益に資する」と強く認識されると、横行するのが不当な情報の囲い込みや独占。例えば、国家が自国内で行われる事業活動に関するデータを国内で保存することを要求したり、データを処理するサーバーを国内に設置することを求めたりすることが行われるようになったりします。その結果、社会格差が生まれたり全世界照準での発展は望めなくなります。

そこで、事業遂行の条件としての自国の領域におけるサーバーのコンピュータ関連設備設置の要求を原則として禁止。これにより、多額の投資や拠点設置を伴わずに海外の消費者や企業と直接取引できるという電子商取引の利点を不当に阻害する規制の導入を抑制する効果を期待しています。

 

 

― 重要性と役割 ―

保護と安全性

 

ソース・コード/アルゴリズムの移転・開示要求の禁止

他方、企業にとって情報は企業秘密であり、重要な知的財産。これらを無作為に開示しなければならないとするとビジネス的企業活動は成り立たず、返って自由競争社会は犯されます。そこで、開示を強制されないことは、企業が国境を越えて電子商取引を行ううえで重要な担保となります。

※ソース・コードとは、
コンピュータ・プログラムを作る際に、そのプログラムにどのような動作をさせたいかを記載した内容(テキストファイル)のこと。たとえば、ウェブサイト上で、表示商品の「購入」ボタンを押したら、商品がショッピングカートに加えられるなどの処理がこれに当たります。
※アルゴリズムとは、
コンピュータに行わせる手順・計算方法のこと。例えば、検索エンジンで、キーワードを入力したときに、どのようなページを上位に表示させるかの優先順位付けがこれに該当します。

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個人情報保護/消費者保護

同様に、個人情報や消費者へも一定の配慮。国際的に一定の保護基準を設けることで、個人が安心してグローバルなデジタル経済に参加することを可能とします。

※個人情報保護・消費者保護とは、
個人情報保護のための法的枠組みの採用・維持や、オンライン上の消費者保護のための制度の制定・維持のこと。

 

ICT製品の暗号開示要求の禁止

さらに求められるのが、ICT製品に含まれる企業秘密やICT製品を介した通信の保護。これらの開示を禁止することで、通信が危険にさらされるリスク抑制を図ります。

※ICT製品の暗号とは、
PCやネットワーク・ルーターなどのICT製品のデータなどの暗号化のこと。

 

 

― 今後の期待 ―

 

明確なルールの策定と実効性の担保

WTO164加盟国のうち、現在86の有志国が参加し、DFFTに関してどのように共通の国際ルールを築くべきか、活発に議論が行われています。
現在、世界中に膨大なデータが存在しており、世界中でデータ流通が行われています。一方で、国境を越えたデータ流通は、けっして自由に行われているわけではありません。
世界ではデータを国内で保存することを要求したり、データを処理するサーバーを国内に設置することを求めたりする国も存在しています。
このため、自国の領域におけるサーバーのコンピュータ関連設備設置の要求を原則として禁止するなどの国際ルールの構築が非常に重要なのです。

2021年12月にDFFTに関するルール作りのため第12回閣僚会議(MC12)が開催。今までの進捗を維持発展させるべく様々な議論が行われました。
①オンラインの消費者の保護②電子署名及び電子認証③要求されていない商業上の電子メッセージ④政府の公開されたデータ⑤電子契約⑥透明性⑦ペーパーレス貿易⑧開かれたインターネット・アクセス

各国の立場に配慮しながら明確なルールを策定。これにより、プライバシーやセキュリティ・知的財産権に関する信頼を確保しながら、ビジネスや社会課題の解決に有益なデータが国境を意識することなく自由に行き来する国際的に自由なデータ流通の促進

グルーバル全体で捉えた情報社会と経済的発展が期待されています。

 

 

編集長の今日のヒトコト

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