経済や経営を支える「ESG」
「ESG」という言葉をご存知でしょうか。
ニュースやビジネスシーンでも「ESG」という言葉をよく耳にするようになりました。
そこで今回は「ESGの概要」「ESGとCSR・SDGsの関係性」「IT技術で実現するESG」をお届けします。
ESGの「概要」
ESGとは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(統治)の頭文字を合わせた言葉です。
今後、企業が持続・成長していくためには、経営においてE・S・Gそれぞれの課題に対する取組が必要不可欠であるという考え方が世界中で広まっています。
環境課題に対する取組では「CO2(二酸化炭素)排出量の削減」「再生可能エネルギーの利用」など、社会課題に対する取組では「地域社会への貢献」「ダイバーシティ経営(マネジメント)」など、統治課題に対する取組では「法令遵守(コンプライアンス)」「情報漏えい対策」などの要素が例として挙げられます。
従来、企業に対する評価基準は、利益や売上高、資産というような財務情報だけでした。しかし財務情報だけでは、その企業が今後も持続・成長可能であるかどうかを予測することは難しいです。
そこで、新たな「企業の評価基準」としてESGが注目されています。ESGの考え方は「長期的に持続・成長する企業は、環境や従業員、ステークホルダーに対して誠実である経営を行う必要がある」と言う考え方です。
2022年現在、ESGを重要視する企業に積極的に投資する「ESG投資」が、大きな資産を超長期で運用する投資機関を中心に広まっています。(「ESG」というキーワードで投資をする投資家も多いそうです!)
ESGとCSR・SDGsの「関係性」
続いてESGと合わせてよく耳にする「①ESGとCSRの関係性」「②ESGとSDGsとの関係性」についてご紹介します。
①ESGとCSRの関係性
CSRとは、Corporate Social Responsibility(企業の社会的責任)の略で、企業がお客様(顧客)をはじめ、従業員や取引先、株主、地域社会など様々なステークホルダーから信頼を得るための活動のことです。
例えば、環境汚染の防止・生物の保護・植林活動と言った「環境保護」、地域社会に向けたイベント・文化財の保全活動と言った「文化支援」等がCSR活動として挙げられます。
ESGとCSRは同じように思えますが、ESGが主に投資家からの信頼を得る目的で行う「経営活動」の1つであるのに対し、CSRは投資家以外にもお客様・従業員・地域社会など様々なステークホルダーからの信頼を得る目的で行う「ボランティアに近い活動」の1つであると考えられています。
近年、ESGが盛り上がってきたことから、多くの企業のCSR活動において「投資家視点での見直し」が行われています。
②ESGとSDGsとの関係性
SDGsとは、Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略で、2015年9月の国連サミットで採択され、国連加盟国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた17の目標と、それらをもとにした詳細な169のターゲットのことです。
例えば、17の目標では「貧困・飢餓」「教育」「気候変動」など、21世紀の世界が抱える課題が、169のターゲットでは「2030年までに、現在のところ1日1.90ドル未満で生活する人々と定められている、極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる。」など、17の目標をより具体的にした課題が挙げられています。
ESGが企業が経営を進める上で重視される要素の1つであるのに対し、SDGsは企業だけでなく国家全体で持続可能な世界を実現するための目標です。
しかし、企業がESGに配慮した活動(経営)を進めることで、結果的にSDGsで定められている目標達成を実現できると考えられており、ESGとSDGsはよく合わせて耳にします。
因みに、2022年6月現在、日本のSDGs達成状況は「世界で19位」でした!
17の目標に対するそれぞれの達成状況は、Webサイト「Sustainable Development Report(持続可能な開発レポート)」から確認できます。
https://dashboards.sdgindex.org/profiles/japan
IT技術で実現する「ESG」
ここまで「ESGの概要」「ESGとCSR・SDGsの関係性」をご紹介しました。
では、具体的にどのようにESGに配慮した取組を行うのでしょうか。
ここで「IT技術で実現するESG」の具体例を2つご紹介します。
具体例①:CO2排出量削減による貢献「電子契約システム」
電子契約システムとは、紙の契約書に印鑑を押す代わりに、インターネット上で電子ファイル(PDF形式の契約書など)に押印・署名して契約を締結できるシステムのことです。
従来、紙の契約書の締結には、契約書はもちろん、封筒や案内状など多くの紙を使用し、その押印のために配送・輸送作業の必要がありました。
電子契約システムを用いることで、紙の使用や配送・輸送作業の必要がなくなり「CO2排出量を削減(Environment)」することが出来ます。
また、ハンコ出社を無くし「多様な働き方を実現(Social)」、暗号化技術による「文書偽造リスクの低減(Governance)」など、E・S・Gそれぞれの観点でも電子契約システムは活躍しています。
2022年現在、日本での電子契約システムの普及率は69.7%であり、約7割の企業が既に導入しています!
具体例②:エネルギー効率の最適化「AI技術」
AI技術とは、人間が行う知的ふるまいをコンピューターにより人工的に再現した技術(人工知能技術)のことです。
従来、1つのシステムを稼働させるには、電気・ガスはもちろん、ヒトによるオペレーション作業など多くのエネルギーが必要でした。
AI技術を用いることでシステムの自動制御が可能となり、電気・ガス・ヒトに掛かるエネルギー効率を最適化することが出来ます。
例えば運輸・物流業では、AI技術を用いることで「配達ルート」を最適化し、荷物1件あたりに掛かるトラックの運転時間・ガソリンを最小限にする取組が進んでいます。
また、不在による再配達を減らすため「家庭の電気使用状況をAI技術で分析し、在宅している時間に配達をする」という実証実験なども進められているそうです!(再配達は二度手間になってしまいますからね!)
企業が持続・成長を目指す上で、社員一人ひとりが考えなければならないESG。
ESGはSDGs達成にも繋がり、その取組は益々重要なものになっていきますね!
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