【話題のITトレンド】プログラミング必修化!学校で何を習う? ー Vol.28 ー
学校で習う「プログラミング」
2022年4月から、高校生のプログラミング教育が必修化になりました。
プログラミングと言うと、ITに携わる人だけに必要な技術と思う方も多いかもしれませんが、必修化されることで、今後はIT以外の仕事に携わる人も必ずプログラミングを学習することになります。
では、なぜプログラミング教育の必修化が決まったのでしょうか。
また、学校のプログラミング教育では何をどのように習うのでしょうか。
今回は「プログラミングとは」「必修化までの経緯」「学校で習うIT・プラグラミング」「なぜプログラミングを学ぶのか」について詳しくお届けします。
「プログラミング」とは
「そもそもプログラミングって何?」「なんとなくイメージは出来るけれどよく分からない」と感じている方も多いのではないでしょうか。
「プログラミング」とは、プログラムを作る作業のことです。
この場合の「プログラム」とは、コンピュータに実行させる処理を順番に書き出したモノになります。
コンピュータは人間の言葉を理解できず、処理できません。
また、曖昧な命令も理解できないため、コンピュータが理解できる言語(プログラミング言語)で、処理の内容を順番に書き出し指示する必要があります。
この一連の作業を「プログラミング」と言います。
プログラミング言語には「C言語」「Java」「HTML」「Python」など、様々な言語があり「日本語」「英語」「フランス語」同様、用途や実行する環境に合わせて使い分ける必要があります。
しかし、学校で習うのは「プログラミング」に限りません。
プログラミングを行う職業である「プログラマー」には、プログラミングの知識・技術だけでなく「課題発見能力」「課題解決能力」「論理的思考力(ロジカルシンキング)」など多岐にわたる力が必要であり「プログラムを作る能力」だけでなく、これら全ての力が学習範囲となります。
(実際にシステムを構築する場合、プログラミングの工程は2~3割程度言われており、その他の能力も重要になります。)
教育においてこのようなITに携わる力を「IT力」と呼び、プログラミングに必要な能力を学習することで、この「IT力」を育むことが出来ます。
必修化までの「経緯」
プログラミング教育必修化は、2013年6月に日本政府が発表したIT戦略である「世界最先端IT国家創造宣言(現在の世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画)」の中で初めて述べられました。
当時、日本政府は「今後の国際社会において、IT力をめぐる競争が激化することが予測され、子どもの頃からIT力を育成して裾野を広げておく必要がある」と述べています。
2016年4月の「第26回産業競争力会議」で、当時総理大臣であった安倍総理大臣が、プログラミング教育必修化を宣言。
さらに、この会議で提出された、文部科学省による資料により、プログラミング教育必修化の動きが出来ました。
その後、小学校、中学校、高校の各段階における具体的な目標や内容などが提示。
2017年3月(高校は1年遅い2018年3月)に新しい学習指導要領が告知され、プログラミング教育必修化が決定しました。
学校で習う「IT・プログラミング」
具体的なプログラミングに関する学習内容について「小学校」「中学校」「高校」にそれぞれ分けてご紹介します。
プログラミングの活用方法を学ぶ「小学校」
実は小学校では、高校生よりも2年早い、2020年から本格的にプログラミング教育が導入されました。
小学生は、プログラミングが社会でどのように活用されているのかを学習します。
例えば、自動車メーカーや住宅メーカー、インターネット関連企業などと連携して、プログラミングの技術が世の中にどのような影響を与えているのかを学習する授業も行われています。
その他には「ICT(情報通信技術)の基本操作方法」「情報活用能力」「情報モラルやインターネットリテラシー」「論理的思考力の向上(プログラミング思考)」なども学習します。
上記の学習内容から、小学校におけるプログラミング教育は、プログラミングの技術を習得することではなく、プログラミングを使って社会で出来ることを知り、論理的に物ごとを考える力を身に付けることを重視していることが分かります。
プログラミングを実践的に学ぶ「中学校」
中学校では、小学校導入の1年後である、2021年から本格的にプログラミング教育が導入されました。(「技術・家庭科」の「技術」の時間に行われます。)
中学生は、プログラミングの入力に対してどのような出力になるのかの仕組を学習します。
例えば、人が通ると点灯するライト(人感センサーライト)は「センサーが反応したらライトを付ける」というプログラムで動いているという仕組を学習する授業が行われます。
(実際にプログラムを書き、オンランゲームなどを作成する中学校もあるそうです!)
その他には「ネットワークを活用したプログラミング」「情報セキュリティ」などのより高度な内容も学習します。
上記の学習内容から、プログラミング的思考の育成だけではなく、問題を発見し課題を見つけて解決できる力を身に付けることを重視していることが分かります。
問題を発見し解決する力を育む「高校」
高校では、2022年から「情報Ⅰ」という科目が必修科目となり、本格的にプログラミング教育が導入されました。
また「情報Ⅱ」という「情報Ⅰ」で学習したことをさらに発展させる科目が選択科目として履修可能です。
従来、高校の情報科目では、情報についての知識を学習する「社会と情報」か、プログラミングを学習する「情報の科学」かのどちらかを選択する方式でした。
その結果、約8割の生徒が「情報の科学」ではなく「社会と情報」を選んでおり、日本政府は「選択制のままではプログラミング的思考で問題を解決に導く力や、プログラミングの知識を育成することが出来ない」と考え「情報Ⅰ」が必修化されました。
高校生は「コンピュータとプログラミング(情報Ⅰ)」と「情報システムとプログラミング(情報Ⅱ)」という単元の中で「コンピュータの仕組」「モデル化とシミュレーション」「アルゴリズムとプログラミング」などのプログラミング学習を行います。
上記の学習内容から、プログラミングの考え方を身に付けることでプログラミング的思考をより定着させ、問題の発見から解決までを自分で行うことを重視していることが分かります。
なぜ「プログラミング」を学ぶのか
ここまで、プログラミングの「概要」「必修化までの経緯」「具体的な学習内容」についてご紹介しました。
ここで、なぜプログラミングを学ぶのかについてご紹介します。
プログラミングを学ぶ理由は、次世代の社会である「Society 5.0」の世界で生きていくために重要な力を育むことが出来るからであると言われています。
Society 5.0とは、Society 1.0(狩猟社会)、Society 2.0(農耕社会)、Society 3.0(工業社会)、Society 4.0(情報社会)に続く、経済発展と社会的な問題の解決を両立した理想的な未来社会のことです。
Society 5.0は、2022年現在の社会であるSociety 4.0(情報社会)と似ていますが、人が情報やデータを入手して分析を行い活用するSociety 4.0に対し、Society 5.0では、センサーなどから集積した膨大な情報(ビッグデータ)をAIで分析を行い活用します。
つまり、Society 5.0の社会では、ビッグデータを扱う能力、即ち「IT力」が重要であると考えられています。
(料理に例えると、料理の知識・スキルが無くとも生きていけますが、料理の知識・スキルがあることにより選択肢が広がり、判断力が上がるのと同様です。)
プログラミングを学ぶことで、人間の持つ豊かな想像力と日々進化し続けるデジタル技術をかけ合わせることが出来るようになり、Society 5.0は様々な課題を解決する「課題解決社会」になると言われています。
まとめ
プログラミング学習は、Society 5.0の社会で重要な「IT力」を育むことが出来ます。
また、デジタル社会の中でよりよい暮らしを送るためにプログラミング学習は重要です。
情報科目は、大学入学共通テストにも出題が予定されており、現代の子供達はまさに情報学習のネイティブ世代と言えます。
今後は情報学習のネイティブ世代と働くことになるため、業界問わずプログラミング学習が重要視されそうですね!
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